小売業の視点で医療機関を見てみると・・・

2017.06.23
ネットスタイル 山崎博史

 自宅近くのコンビニエンスストアがまた閉店しました。最初にスリーエフが1年ほど前、3ヶ月前にはローソンが、そしてファミリーマートが建て替えのために今は更地になっています。残ったセブンイレブンには、朝から入りきれないほどの車が入ってきて、レジはスーパーマーケットのように長蛇の列ができています。コンビニはこのような状況ですが、もう一点、おうちコープのような食材を玄関まで届けてくれるサービスも目にするようになってきました。高齢者にとってスーパーへ買い物に行っても、重たくて持って帰れないようなものは、このような宅配は重宝されているようです。まさに、小売業の群雄割拠がダイナミックに動いているのがよくわかる事例です。そしてこれが自由経済であり、企業は、利幅の少ない地区から撤退をして、利益が見込める地区を目指して移動していきます。

 

これに反して、地域に根ざした商店街や商店は、衰退の一途をたどっています。特に、住居と店舗が一体となったお店は、商店主が高齢になって商売を辞めても、店舗が住居の一部になっていて他の人に貸すことが困難になっています。また、営業を続けていても、住民のニーズを満たせないようならやはり客足は遠のき閉店に追い込まれることになります。さらに、大型スーパーが近郊に出店すると、初めは顧客を食い止めるために様々な取り組みを行いますが、大型スーパーは膨大な顧客データーを元に、よりニーズにマッチした商品を取り揃えて、顧客の関心を引きつけます。宅配サービスもコンビニも同様に顧客の関心を引きつける戦略を打ちつつ、周辺サービスへの展開も広げています。あえて、私が説明するまでもなく、日頃みなさんは目にしており、感じている事柄です。

 

実は医療機関も同様なことが言えます。昭和30年代から建設省が進めたニュータウン構想は、今や、全国津々浦々に2000ほどもニュータウンを造成してきました。いわゆる団塊の世代が社会人になって結婚して自宅を建て始めた頃です。ニュータウンに欠かせないのが、駅、バス、学校、市場、役所の窓口、警察など、そして医療機関です。ニュータウンの造成とともに若い医師が自宅兼診療所を開設し、地域の児童の健康管理から住民の病気への対応を行ってきました。このころの開業医は地域のニーズもたくさんあって、また、診療報酬も高くて一財産を築いた方も多いのですが、時代が流れてこれらの開業医も高齢になってしまって閉院してしまい、今や、ニュータウンには商店もないし、医療機関も少なくなった状態になっています。ニュータウンは非常に顕著な事例ですが、厚労省の資料によると、全国的に見ても、この10年ほど診療所数は横ばい状態にありますし、病院も含めた全医療機関数は減少傾向にあります。2025年に団塊の世代が後期高齢者になった時点から、医療機関の数は減っても増えることはないでしょう。

 

私は様々な業種の方々と話をすることがあります。今まで医療との接点がなかったような企業の人も医療ビジネスに関心を寄せています。ただし、その多くは、「病気になって医療機関に受診して、処方箋をもらって薬局で薬をもらう。または、入院して手術をして治す」というイメージが医療の現場と捉えている傾向があります。しかし、実際は今まで述べてきたような大きな視点から医療ビジネスを見ていかなければなりません。なぜ、このクリニックはこんなに人口が減っても、何故ここに居続けるのだろう?もっと患者が多い地区に引っ越した方が良いのに?と疑問を持つことが大事です。当然、医療制度を知っている人にとっては、こんな疑問を持つことは制度を知らなすぎると考えるでしょう。しかし、あえて、これから医療ビジネスを創出していくには、どっぷりと浸かってしまった経験値よりも疑問から出てくるアイデアの方が強いと思います。

 

さて、閉店したローソンの駐車場に、テナント募集の広告が大きく出ています。建物の大きさといい、駐車場の広さといい、私個人としは、3km離れたK病院がここに出先のクリニックを作って、在宅医療の拠点にすれば、この辺りの人たちのニーズに合うのにと思ってしまいますが、さて、何ができるでしょう。

追記 2018.11.13
1年ほど「オーナー募集」の大きな看板がありましたが、諦めたのか?今は、撤去されています。

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