現場から医療改革推進協議会 シンポジウム

2018.11.25
ネットスタイル 山崎博史

先日、医療ガバナンス学会の「現場からの医療改革推進協議会」のシンポジウムにお呼ばれして聴講してきました。日程は2日間でしたが、私が聴講したのは半日だけでしたので全体を聞くことはできなかったのですが、それでも多くの刺激を受けました。

ガバナンスというところからお分かりの通り、医療は様々な法律の枠の中で規定されていますが、これはどの業界に言えますが社会の認識のズレを法体制が追いついていない、それ故、当事者の立場から医療改革をしていこうということです。

先レジメを読ませていただいて思ったのは、医療システムをめぐる問題は日本に限らず全ての世界で起こっておりおそらく共通の課題があるように感じました。私が書いてきたコラムでも同じような問題提起を行ってきています。知人の医師から理事長の上昌広先生をご紹介をいただき、また翌日お礼のメールをいただき恐縮しています。

さて、2日間のセッションの中で気になったテーマを2つほど取り上げてみたいと思います。

一つは、「製薬企業と医師」です。来年から、製薬メーカーは訪問時に渡していたクリアホルダー、ボールペン、はたまたカレンダーや文房具類に至るまで提供まかりならんとなりました。と言っても文房具を買うお金がないわけでもなく、たまたま持ってきてくれるので買いに行かなくて便利だというだけです。 問題は、治験や臨床試験です。私も市販後調査をしたことがありますが、とにかく面倒臭いし、時間は取られるし、それなのに、その時間と労力に対するギャラは出ない。これではやる気は失せるわけです。臨床医の立場では、その時間と労力で一人でも多くの患者さんを診ることもできます。ですから金銭授受は医療関係者に対しては正当な報酬であると認識しています。しかし、度がすぎるとセンセーショナルに取り上げられてお互いにどうしたら納得のいく試験ができるのかが問われているわけです。

これについては極論ですが、『多額の金銭が製薬企業から支払われることによって、医師の処方を歪め患者が不利益を被る』とイスラム教の『男性は性欲に弱いので、女性はブルガを着用しなければならない』は似ていると感じます。どちらも医師が倫理観を持ちなさい、男性は倫理観を持ちなさい。という考えがあれば事足りるのに、あくまでも片側だけに責任を押し付けているようです。つまり今回の問題も『医師はお金に弱いので、製薬メーカーはお金を出さないようにしなさい』と言っているわけです。しかし、治験や臨床試験は実際に時間と労力を提供しているわけですから、報酬は正当であるはずです。要は医師の倫理観の問題なのに、そこに触れないようにしているのが疑問です。

二つ目は、在宅医療です。このテーマでもいくつか登壇されていました。超高齢化社会になり、今後ますます介護が必要となる人が増えていく中で、現状の在宅医療はそれは素晴らしい取り組みをされているのですが、やはりクリニックレベルでは問題解決にならないと感じます。それは在宅医療という考え方が要介護者対策という枠の中で押し込まれているからです。今、在宅医療の現場ではIcTを利用した効率的は取り組み、施設ではIoTを利用した取り組みが進んでいますが、要介護者という枠の中では発想は乏しくなります。これに対してアメリカやアフリカ、インドなどではもっと広い意味での在宅医療を(想定はしていないかもしれませんが)目指しています。

次にご紹介するのはmycahealth社です。この企業もiPhoneが登場する前からBlackBerryなどで医師と患者がtelemedicineができるシステムを提供してきていました。この動画は、ユーザーが時間的ロスを如何に減らすことができるかを面白おかしく紹介しています。

私のコラムでも度々書いていますが、将来、病院という建物がなくなり、場所を問わずに医療を受けられる時代がきます。在自宅であり、在勤務先であり、在旅行先であり、標準的な医療は受けられます。その先駆けが現在の要介護者の在宅医療です。在宅医療が何を目指すかによって、国の医療施策も変わって来なければならないでしょう。

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2日間のセッションの内容は次の通りでした。