介護医療保険の要点とその製薬企業に与える影響 vol.3

2015.02.13
ネットスタイル 山崎博史

介護保険

 高齢者福祉の歴史的な流れを見ると、1960年代に高齢化率が5%を超えるようになり1963年に老人福祉法が制定された。1973年には老人医療費が無料化されるに至り老人医療費が増大するようになった。このため1982年に老人保健法が制定され老人医療費の一部負担の導入がなされた。この1980年代は社会的入院や寝たきり老人が社会的問題になり1989年にはゴールドプランが策定、1990年代には高齢化率が10%を超え、1994年には新ゴールドプランが策定された。1990年代後半は、介護保険導入に向けて準備がなされ、1997年に介護保険法が成立、2000年に施行されるに至った。この時、既に高齢化率は17.3%になっていた。

 介護保険制度は、40歳以上の人が支払う「保険料」と「税金」とで運営されている。運営は市区町村と特別区(以下、市区町村)が行い、これを都道府県と国がサポートする。運営者を「保険者」、介護が必要になったときにサービスを受けることができる人のことを「被保険者」という。  また、介護費は介護保険法が施行された2000年当初は3.6兆円であったが2013年には9.4兆円と10年余で約3倍になっており、2025年には19.8兆円に達すると予測されている。

医療介護総合確保推進法

 先に述べたように、本年6月に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律」(医療介護総合確保推進法)が成立した。この法律の趣旨は「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を 推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う。」と謳われている。具体的には、

A) 新たな基金の創設と医療・介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関係)
B) 地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係)
C) 地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係)

となっている。特にb)は病床機能分化を推進するための制度として位置づけられており、その中身は病床機能報告制度と地域医療ビジョンである。この2つの制度は、2012年11月に始まった「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」の中で議論されてきた。病床機能報告制度、急性期機能に偏った一般病床の機能分化の推進に向けて、医療機関が自院の機能を都道府県に報告する仕組みであり、自主的な判断で報告され、それを受けて都道府県が地域医療ビジョンの策定と、関係者がビジョン実現に向けて議論を行う「協議の場」を設置することになっている。同制度では、医療機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに区分される。有床診療所を含む、各医療機関が、病棟単位で医療機能について、「現状」と「今後の方向」を年1回報告することになっている。

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