介護医療保険の要点とその製薬企業に与える影響 vol.4

2015.02.13
ネットスタイル 山崎博史

医療保険・介護保険が製薬企業に与える影響

 さて、医療保険や介護保険の概略は以上の通りである。これらの保険収入に公費を加えて、さらに自己負担分を加えたものが、それぞれ国民医療費であり、介護給付費である。介護保険が製薬メーカーに直接影響を及ぼす事はないが、国民医療費はその3分の1から4分の1が薬剤費であることを鑑みると影響は非常に大きい。日本製薬工業協会のシンクタンクである医薬産業政策研究所は、包括払いも含めた正確な薬剤費の割合を出す必要があると報告している。

 一般的なサラリーマンが払う健康保険の窓口負担分は1981年に1割、1997年9月に2割、2003年に3割と増加している。逆に、いわゆる高齢者の窓口負担分は3割、扶養家族の高齢者の場合は5割と高率であったが、1973年に自己負担分を老人福祉法で負担することになり、一斉に無料となった。その後、1983年(昭和58年)2月に老人保健法を施行。伸び続ける老人医療費を抑えるため、高齢者の自己負担を外来1ヶ月400円、入院1日300円(2ヶ月限度)とすることとした。その後さまざま変遷を繰り返した結果、現在は1割または2割、現役並みの収入のある人は3割となっている。これらの変更のたびに受診の率は変動するものの、外来受診者数は1975年より680万人前後を平均して推移している。これは、1997年に2割自己負担でいったん減少傾向を見せたものの、高齢者の人口が増えていることから考えると、人口減少や受診率を吸収した形になっていると思われ、現状では増加傾向にある。

 さて、国民医療費はすでに40兆円に手が届きそうになっている。その中で、薬剤費が占める割合は高く、国としては、ジェネリック医薬品の使用促進が挙げられる。ただし、ジェネリック医薬品を積極的に使用するのは、病院などのDPCが主たるものになるので、名目上、厚生労働省の国民医療費に占める薬剤費の割合には影響しないと思われる。

まとめ

 医療保険において、今後も医療機関での窓口負担が変動する事が予想される。これに伴い、受診率は一時的に減少すると思われるが、患者数は平均すると同程度推移すると思われる。  DPC包括払いの病院では、今後も積極的にジェネリック医薬品の使用が増えると思われる。また、一般開業医においても患者負担軽減のために、ジェネリック医薬品へのシフトは避けられないと思われる。逆に新薬は医療機能「高度急性期」「急性期」を中心に、より高度な医薬品が使用されると思われる。

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